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野党候補上原氏に決まる

 ■保守ながら自衛隊に反対

 来年3月11日に実施される石垣市長選の野党側候補に、石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会共同代表で八重山地区医師会会長の上原秀政氏(63)が選考委員会の全会一致で決まった。3選を目指し12月定例市議会後の年内に出馬表明を行うとみられる現職の中山義隆氏(50)と、自衛隊配備の是非をめぐり全面対決に突入する。

 上原氏の選考理由は▽医師として長年、人の命を預かる医療に携わっており、人間性も評価されている▽人の命は全地球より重いという信念のもと、石垣島への自衛隊配備に反対し、その運動のリーダーとして活動している上原氏の英知と情熱、行動力は高く評価されるーことなど。

 保守系を自認する上原氏は、自衛隊配備問題が具体化した2015年8月から反対運動の先頭に立っているが、そこには亡き父の思いがあるようだ。

 ■父の苦悩が背中押す

 20歳で戦場に駆り出された父は、上官に命じられて嫌々ながら他の兵士とともに2人の敗残兵を殺したことなどがトラウマとなって戦後亡くなるまで戦争の残酷さ、理不尽さにさいなまれていたという。父の著書出版を手伝った時に知ったその苦悩と平和への思いが上原氏を保守支持ながら自衛隊配備反対に突き動かしたようだ。

 その当時、上原氏は「基地はいったんできると永久に居座り、観光にも子育てにも影響する。自然豊かな平和な石垣島を守るには、保守だ革新だといってる場合じゃない」と保・革を超えて配備阻止の必要性を強調。

 野党側の候補に決まった際は「市長が変わらないと陸自配備を止めることはできない。尖閣を行政区域にする石垣市に発火装置を置くべきでない。ミサイル基地があるとふとした拍子で間違いも起きる」と基地のない平和な島を目指す決意を語っている。

 今回の選挙は野党革新側にとっては絶対に負けられない「背水の陣」の戦いでもある。それは現在でも保守優位の中、自衛隊が配備されると、この島は隊員やその家族でますます保守化と右傾化が強まり、革新候補が全く選挙に勝てない政治の多様性を欠くいびつな島になる可能性が強まるからだ。

 ■公明が石垣の岐路左右

 そのため候補者選考は保守票も取り込める「勝てる候補者」擁立を目指し、そして決まったのが上原氏だ。同氏には政治的力量や年齢面で若者票を取り込めるか不安視する声があり、これが選考がもたつく要因にもなったが、政治的力量は同じように素人の医師から転身して4選した大浜長照前市長の例があるし、若者票は経済政策などで十分取り込めると判断したようだ。

 これに対し3選を目指す中山氏は、相手候補の多選批判と女性問題で圧勝した過去2回の選挙に比べ、今回は攻撃材料が少ない新人相手に容易な戦いではないだろう。逆に2期ともなると、その政治姿勢に内外から批判も出て、内部体制にもほころびやきしみが出るからだ。

 石垣市の岐路を左右するのが、過去2回の選挙で中山氏を支持した公明党の対応だ。自衛隊配備に否定的な同党が「平和の党」としての矜持を貫くかどうか。その動向が選挙に大きく影響する。


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