■いよいよ9条改正が現実に
「安倍一強政治」が問われた第48回衆院選は22日の投開票の結果、各メディアの情勢調査通り自民・公明の与党が3度目となる改憲発議の3分の2の310議席以上を確保し、大勝した。
不思議なのは「森友・加計隠しの大義なき解散総選挙」とあれだけ批判され、内閣支持率の世論調査でも不支持が支持を上回り、しかも不支持の理由は「首相が信頼できない」のに、なぜ「安倍一強政治」の継続を許す結果が出るのかということだ。
そこには政権批判の受け皿になり得ない野党に問題があるとはいえ、国民がまともな説明もなく重要な法案を次々強行するおごりと緩み、強権の「安倍一強政治」に異を唱えず、しかも問題議員らも次々当選するこうした政治状況こそが「国難」といえまいか。
この選挙では希望の党という新たな保守党の誕生で国政は改憲勢力が4分の3以上となり、大政翼賛的な総保守化が鮮明になった。
トランプ大統領などの極右が世界で台頭しているが、日本もいよいよ首相の悲願の憲法改正で同じ道を進みそうだ。しかし木で鼻をくくったようなごう慢不遜な国会運営が続くなら今度こそ排除の論理で一瞬にして失速した小池新党の二の舞いだろう。
■3選挙区で反辺野古勝利
そういう中で沖縄は辺野古新基地建設に反対する反自公の「オール沖縄」勢力が3勝1敗で勝利し、本土とは違った沖縄の揺るがぬ民意を示した。
前回14年の全勝から米軍基地のない宮古、八重山を選挙区とする4区を落としたが、米軍基地のある1ー3区で完勝したのは、前回選挙から3年余の間にオール沖縄勢力に陰りが見えるといわれる中で、依然沖縄の民意が反辺野古であることを示した。
前回の名護市長選から知事選、衆院選、昨年の参院選と続く通算4度の民意を無視して首相は「アメリカ第一」で工事を強行しているが、しかし首相にほんの少しでも沖縄に寄り添おうという気持ちがあるなら今回いったん工事を中断し、沖縄と話し合うべきだ。それが民主政治というものだ。
4区の自公候補勝利でむしろ沖縄の民意は崩れたと工事を強行するなら翁長知事も、「埋め立て承認撤回」で対抗すべきだ。来年の名護市長選、知事選を前にそろそろ決断の時だ。
■自衛隊の決着は市長選
来年3月の石垣市長選挙を占う前哨戦として自衛隊配備が争点だった八重山は、4区で前回の雪辱を果たした辺野古容認、自衛隊配備推進の自公の西銘恒三郎氏(63)が保守地盤の強みを生かして今回も勝利した。
注目の石垣市の得票は西銘氏が9919票、辺野古新基地・自衛隊反対の仲里利信氏(80)が9098票で821票差だった。前回の755票差から66票差広げた。仲里氏は前回より843票を上積みし9000票台に到達。一方西銘氏サイドも反対派への危機感から909票上積みしたが目標の1万1000票台には到達できなかった。
自衛隊配備の決着は市長選になるがただ西銘氏の票には公明票も入っており、その市長選の鍵を握る公明党の2人の市議は前回、前々回の市議選とも自衛隊配備に反対を表明している。