衆院選沖縄4区は22日、南城市の開票作業が23日に延期されたため、午前0時までに当落が判明しなかったが、八重山では西銘恒三郎氏が1万1000票台を獲得、1万票台の仲里利信氏を上回った。両陣営とも「八重山の結果が当選につながる」「前回より上積みができた。結果に期待したい」とそれぞれ勝利を信じ、支持者らは午前0時前後には事務所を後にした。23日午後1時から始まる南城市の開票作業を待つ。
西銘陣営は、砂川利勝県議事務所で十数人が開票速報を見守った。投票時間終了の午後8時同時に「自民党勝利、単独過半数」との報に沸いた。
八重山での勝利が確定した午後11時50分ごろ、選対本部長の砂川県議は「八重山で差を広げたことは評価できる。われわれが訴えてきた自公の取り組みが評価され、経済に対する危機感が表れたと思う。これは自公体制の結束の表れだ。この勢いを当選に結び付け、沖縄4選挙区の一角を崩したい」と話した。
選対本部石垣市支部長の中山義隆市長は「市でも票が伸び、票差がついた。自公の国政運営に信任を得たことになる。票が伸びた要因は、西銘さんが地元に足を運び、住民の声を国政で訴えてきたから。自衛隊配備問題、オスプレイの緊急着陸、米軍ヘリ炎上事故など西銘さんにとっては逆風となったが、順調に戦うことができた」と評価した。
【解説】陸自配備問題~市長選に持ち越し
衆院選沖縄4区の八重山3市町では、西銘恒三郎氏が仲里利信氏の得票を上回り、自民党と公明党の結束の強さを発揮した。自公は2010年3月の石垣市長選で協力体制を築いて以降、地元の選挙で負けなし。石垣島への自衛隊配備問題を争点化せず、国政野党が分裂・乱立する中、自公連立政権の実績を強調したことが奏功、有権者の多くも自公政権を評価した。
選挙区の西銘氏も、公明の九州比例4議席も、当初から厳しいとの見方があっため、両者は公明の比例票の目標値まで設定するほど「選挙区は西銘、比例は公明」を徹底。自衛隊問題で公明石垣は中山義隆市長に最終判断の先送りを求めるなど慎重な立場だが、今選挙では「自公政権を維持することが優先」として自衛隊問題を封印させ、地域事情を抜きにした運動を展開してきた。
このため、西銘氏の石垣市での得票には、陸自配備に否定的な公明支持者の票も含まれているとみられることから、今回の結果は民意を図るバロメーターにはなりにくく、陸自配備をめぐる決戦の舞台は来年3月の市長選に持ち越し。今後、中山市長がどのような最終判断を下すのか。市長が選挙前に配備を容認した場合、公明がどう対応するかが当面の焦点となる。
一方、仲里陣営も前回から得票を伸ばした。自衛隊阻止の訴えが支持拡大につながったとみられるが、自衛隊反対署名1万4000筆を集めた住民運動の勢いからすると物足りない印象は否めず、内部でも評価が割れている。市長選に向け運動の真価が問われることになりそうだ。