本年度から次年度にかけ建て替えが計画されている八重山農林高校(渡久山修校長、生徒307人)の寄宿舎の設計作業が遅れている。県教育委員会が提案している設計プランの居室面積に同校が「納得できない」として作業の中断を求めている。作業が遅れると、次年度の完成予定が延びる可能性もある。
同校によると、県教委が提示している設計プランでは、居室(2人部屋)の面積が幅3・2㍍、奥行き3・9㍍。実質的には壁の厚さ分が狭まることになる。そこに別予算で準備予定のベッドは幅が1・1㍍、奥行きが2㍍程度で、ベッドを両端に設置すると、通路スペースは約0・5~0・8㍍になる計算という、渡久山校長は「非常に狭い。梅雨時期には洗濯物の部屋干しもする。年間約230日ほど生活する場所で、精神的に安らげる空間とはいいがたい」と指摘する。
同校によると、建物の面積は現在の入寮者の数で算定し、予算はそれに補助単価をかけた金額になるという。渡久山校長は市の北部地区や竹富町の児童生徒数の推計で、微増傾向であるというデータなどを県教委に提出しており、「1番少ない年度で算定されると将来寮に入れない生徒が確実に出てくる。その部分が考慮されていない」と訴える。
PTA会長の徳山純英さん(57)はことし1月に開所した県立離島児童生徒支援センター「群星寮」を挙げ、「同じ県内の寄宿舎なのになぜこんなに格差があるのか。いい環境じゃないと落ち着いて勉強ができない。本島同様、できれば個室にしてもらいたい」と訴えている。
県教委の担当者は「学校の要望を可能な限り確認し、設計プランを検討している段階」と述べるにとどめている。