石垣市(中山義隆市長)主催の循環のまちづくりシンポジウムが10日午後、石垣市健康福祉センターで開かれた。シンポジウムでは九州管内の先進自治体3市町の担当者と石垣市が事例紹介を行った後、「石垣市における未利用資源の活用と地域づくりの可能性」をテーマにしたパネルディスカッションが開かれ、来場者とパネリストらが活発な意見を交わした。
同シンポジウムは、食品廃棄物や動植物性かす、家畜排せつ物など未利用バイオマス資源の利活用に向け、バイオマス資源の循環利用とその将来像を共有することが目的。
熊本県山鹿市の栃原栄一農林部長、福岡県大木町の野口英幸環境課主査、同県築上町の田村啓二産業課長が事例報告。市農林水産部の石垣当貴技師が取り組み状況を紹介した。
先進事例では、各自治体共に一般家庭から排出されるし尿や浄化槽の汚泥、生ごみなどを自治体が収集、メタン発酵させた後、堆肥や液肥に返還させて農家に還元している現状が紹介された。
続いて行われたパネルディスカッションは長崎大学准教授の中村修氏がコーディネーター、各先進自治体職員や岩下幸司市農林水産部長らがパネリストを務め、来場者の質問に答える形式で実施。
来場者からは「施設(バイオマスセンター)の収支バランスはとれているのか」「農家のメリットは」「失敗した事例は」と質問が相次いだ。
施設の収支バランスについては各パネリストが生ごみ、し尿・汚泥にかかる処理費用が軽減されることで全体的な行政コストの削減が図られることを説明。農家のメリットについては自治体によって異なるものの、肥料代が1㌃当たり20|30分の1に削減されている状況を紹介した。
失敗事例については野口氏が「メタン発酵消化液を下水処理しているために、その処理に莫大(ばくだい)な費用がかかっている自治体もある。下水処理をやめて液肥にすることでうまくいっている」と述べ、農家が喜んで使用できる液肥・堆肥の価格設定や施肥方法を確立することの重要性を強調した。