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市長はこのさい断念求めよ

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■予想外の展開に驚き

 市民を二分する自衛隊配備を求める請願は、与党分裂でよもやの不採択となった。こういう展開・結果は市民の多くが恐らく予想しなかったはずだ。

 17日の総務財政委員会で多数与党が数の力で採決を強行したことから、20日の最終本会議も当然そのまま採択されるものと予想していた。

 そこでなぜ市議会与党は、情報もまだ十分に開示されず、議論も尽くされていないのに採決を急ぐのか。しかもよりによって不戦と平和を誓う沖縄戦終結の「慰霊の日」を目前に、それも元米海兵隊員の女性殺害事件に対する追悼と糾弾で6万5千人が終結した怒りの県民大会の翌日に、あえて再び戦争につながる自衛隊配備を認める愚挙に出るのか。石垣市の中山市政には強権の「安倍政治」が乗り移ったのかと憤りを感じていた。

 それが最終本会議は、その予想を覆して多数与党内から「もっと議論が必要」「時期尚早」と熟議を求める議員の造反があって、自衛隊配備推進協議会の請願は賛成少数でよもやの不採択となったのだから、多くの市民が驚き、議員の良識を再確認したはずだ。

 特に配備請願採択を覚悟していた反対住民は思わぬ展開に驚き、“欣喜雀躍”した人も少なくないだろう。  

■急いては事を仕損じる

 今回の与党の採決強行は「急(せ)いては事を仕損じる」の典型的な結果になった。それは内紛で請願が不採択になった上、与党の自民党石垣支部は10人中6人の議員が、退席した支部長や反対票を投じた幹事長ら2人の対応に反発して支部を脱退し破綻したからだ。これは22日から始まった参院選に影響し、中山義隆市長の足元もぐらついたのだから最悪の結果と言える。

 その中で反対を明確にせず退席した公明議員2人の対応は、平和の党としてすっきりしないが、自民議員の造反は自衛隊に対する多くの市民の不安、急進的な一部与党議員に対する懸念の声が届いたものと言え、それは論議すれば理解は深まることを示すものだ。

 宮古島市は、下地敏彦市長の来年1月の市長選を意識した20日の唐突な自衛隊配備受け入れ表明や、その間の配備ありきの強引な市政が市民の反発や与党の不信も招き、防衛省は計画の見直しを迫られるなど配備優位の動きは現在、先行き不透明になっている。

■あすは「慰霊の日」

 石垣市も今回の不採択は、市議会が判断は時期尚早と仕切り直しを求めたものだ。推進派は改めて配備を求めてくるだろうが、中山市長はこの際防衛省に配備断念を求めるべきだ。それは配備問題が自らの党にも亀裂を生んでいるように、市長が「日本一幸せあふれる石垣市」を望むなら余計な対立の火種やリスクは排除すべきだ。

 きょう22日は参院選公示で、あす23日は「慰霊の日」。20万人余の命を奪った沖縄戦から71年なるが、沖縄に不平等な日米地位協定、米軍基地を押し付ける日米両政府の不条理は変わらず基地あるがゆえの残虐非道な事件事故でまたも県民大会が開かれた。

 沖縄の特別な日である「慰霊の日」と重なる今回の参院選は、そういう安倍政権の沖縄差別を正す選挙だ。


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