石垣市議会(知念辰憲議長)は、7日開会した6月定例会で、奥武山公園内の陸上競技場でオール沖縄会議が19日に開催する「米軍属女性死体遺棄事件に抗議する県民大会」の会場を変更するよう同会議に求める要請決議を、与党の賛成多数で可決した。平良秀之氏は退席した。全国高校野球選手権沖縄大会が同日から公園内の沖縄セルラースタジアム那覇で開催されるとして離島球児への影響を懸念して決議したが、決議後に大会開幕日に事実誤認があったことが判明。決議文を送付できない状況に陥っている。
「第98回全国高校野球選手権沖縄大会を当初予定の球場で開催することを求める要請」は、我喜屋隆次氏の提案。「県民大会に反対するものではない」としつつ、県民大会の開催に伴って県高野連がスタジアムで行う予定だった1回戦3試合の会場を別の球場に変更したため、例年大会初日に組まれている離島校が会場変更によって交通費や宿泊費の負担増が懸念されるとしていた。
しかし、野球大会の開幕日は18日。7日に抽選が行われた結果、八重山などの離島校はすべて18日の日程に組まれたため、離島校にとっては19日の県民大会の影響はなくなった。
野党の宮良操氏は本会議終了後、「事実誤認も甚だしい。市議会は失笑もの。猛省を促したい」と批判。我喜屋氏は取材に「文言を修正したい」と述べた。
要請では「甲子園につながる同球場でプレーすることは高校球児にとって意義がある。高校野球生活最後の3年生は同球場でプレーできなくなる可能性が出てくる」としている。
要請に対しては野党からは「オール沖縄会議はスタジアム管理者の那覇市の許可を受け、高野連と調整して決めたこと。許可された団体に議会が要請するのは不適当。(米軍属遺棄事件に対する)県民の怒りに水を差すようなものだ」(宮良操氏)、「調整も済んでいるのにいまさら会場の変更を求めると余計に混乱する」(長浜信夫氏)と批判や疑問の声が相次いだ。
我喜屋氏は「高野連の日程に後からオール沖縄が入ってきた。離島校はスタジアムでの1回戦に組み込まれる可能性があり、地元の一部からも(困るとの声が)上がっている。オール沖縄は政治団体。われわれも関与すべきだ」と説明した。