石垣市が4月12日から始めた幼稚園の一時預かり事業は当初、必要とされる保育担当者23人に対して20人しか確保できず、12日現在も22人と1人不足した状態が続いている。さらに本年度から幼稚園型認定こども園に移行したまきらとおおはまの2園でも、午後保育に必要な有資格者それぞれ3人のうち2人、1人が確保されていない。現場の教諭たちは負担増を強いられており、「見切り発車ではないか」「午前の幼稚園教育の部分にも支障が出ている」など不満の声が上がっている。
児童家庭課によると、一時預かりを行っている14園の利用者は4月6日現在、318人。
不足している幼稚園に対しては、同課の職員や市教育委員会学校教育課の指導主事、子どもの貧困緊急対策モデル事業の子ども支援コーディネーターらで対応している。
一時預かりの担当者が確保されている幼稚園でも、急な人材配置により幼稚園教諭が業務内容の説明や指導に追われたり、午後の保育をメーンで行ったりするケースがあるため、午後に行う公文書の処理や学級内の環境整備に支障も。
関係者は「年度当初の大事な時期に担任や保育担当者を含めた話し合いの時間が持てていない。自分の仕事もできない。これで保育の質を上げるなんてとてもできない」と嘆く。業務が午後4時45分の勤務終了時刻を過ぎることもあり、「教諭も子育てをしている。その支援はどうなっているのか」と憤る。
関係者の一人は、うえはら幼稚園の事例を挙げ、「休園措置をして保育担当者が見つかり次第、再開するという形にしてもらいたい」と要望。「職員にも子どもにもしわ寄せが来ている。何かが起きてからでは遅い。今はただ、子どもたちにけががないようにするだけで精いっぱい」と訴える。
同課は「先生方の負担が大きいことは重々承知している。少しでも緩和できるようにしていきたい」と話している。
一方、2カ所の認定こども園では保育担当者が不足している上、本年度から受け入れている3、4歳児に必要なシャワーやクーラー、扇風機の設置、トイレの改修など施設整備が行われておらず、同課は「先生方に立ち会ってもらって現地を視察し、夏休み中に改修を行いたい」としている。