■どこでも起きる地震
連日テレビに悲惨な光景が映し出され、胸が痛む。14日午後9時すぎ震度7で始まった「熊本地震」はその後大分県にまで被害が拡大し当初9人だった犠牲者は44人、消息不明9人、負傷者は1100人以上に増えた。家屋は至る所で無残に倒壊、道路はずたずたに引き裂かれ、電気・水道・ガスなどのライフラインは寸断。収束の気配のない地震で11万人に上る人々の避難生活は長期化を避けられそうにない。
この突然のような熊本地震の発生で専門家からは「日本はどこで地震が起きてもおかしくない」との指摘が相次いだが、それは日本だけでなく世界がまさしくそのようだ。
それは熊本の惨状が伝えられるさなかの17日、同地震とは直接的に関係ないが、南米エクアドルでも地震が起き、350人以上が犠牲になったというニュースが飛び込んできたからだ。
■石垣市でも支援始まる
それだけに八重山の人々も、たとえ遠方の地の災害であっても、「明日はわが身」と自らに重ねて、まず被災地に自分ができる支援の手を差し伸べるとともに、幸い24日は石垣市主催で明和大津波の歴史を教訓にした「市民防災訓練」がある。これを機に地震や津波など足元の防災対策を役所も個人もあらためて点検し対策すべきだ。
支援に関しては、石垣市をはじめ市内の有志や商業施設のテナント業者らが救援に乗り出し、機運が高まっている。5年前の東日本大震災では、岩手・石垣かけはし交流協会と市がタイアップ。800万円の義援金を岩手に届け、さらに市内の有志らが被災地の人々の滞在を受け入れたり、現地で炊き出しなどの支援をした例がある。
八重山には熊本出身者も少なくないし、毎年石垣でキャンプを張る千葉ロッテの伊東勤監督も母が住む熊本の実家が被災したという。義援金や返礼なしのふるさと納税などそれぞれができる範囲で支援の手を差し伸べたい。
今回の熊本地震では1700棟以上が全半壊し、44人の死者や1100人以上の負傷者の大半が1995年の阪神大震災と同様、その建物の下敷きになったといわれる。いわば「耐震化が地震から命を守る」カギだ。
■耐震補助利用はゼロ
石垣市は1981年以前に建てられた家屋に対して2013年から補助金を出し、耐震診断と改修を進めているが、申請は現在まで1件もない。阪神大震災を教訓に国8割、県・市各1割補助で実施。石垣市には全体の25・5%に当たる約3400棟が耐震性に問題があるとされるが、全く機能していないのは“欠陥制度”なのだろう。
地震から市民の命を守るため石垣市は、同制度を独自に変えてでも耐震化を進めるべきだし、美崎町など埋め立て地の液状化対策も急ぐべきだ。
24日の市民防災訓練は津波対策が主だが、同時に地震対策の再確認も必要だ。揺れを感じたらどう行動するか、火災など二次災害を防ぐため電気ブレーカーを切り、ガス栓を切る。窓ガラスの飛散防止フィルムを張る。家族であらかじめ集合場所を決めるなどだ。
さらに独居の高齢者など災害時要援護者の救出態勢の再確認も必要だ。