石垣の今年のクルーズ船観光は、中国からの初寄港を加え、昨年を54回上回る過去最高の138回に増加するなど好調だ。それは先月の国会で安倍首相が施政方針演説で取り上げ、「新しい岸壁の整備を進めます」と言明した▼石垣が同演説で取り上げられるのは、恐らく2003年の小泉首相以来だろう。「港を中心としたまちづくり」で取り上げ、現在の離島ターミナルや旧支庁跡地の駐車場などができた▼安倍首相は「この3年で石垣寄港は2倍近くに増えた。町で石垣牛を食べ、お土産の黒糖を買う」などと語り、新岸壁の整備に言及した▼今回の演説での石垣言及は「首相の強い思い入れ」(政府関係者)という。確かに中山市長を筆頭とする石垣市の保守勢力は、辺野古新基地をめぐり政権批判が強い沖縄にあって県内有数の「安倍応援団」だけに、その返礼の意味であえて取り上げたのだろう▼しかし首相が言明した大型クルーズ船対応の新岸壁は、既に工事も進行中でことさら目新しいものではない。それだけにどうせなら国設の水族館か自然史博物館を造ってやると言ってほしかった▼それにしても安倍政権を支持する皆さんは、県民の大半が反発する政府の不条理に、同じ県民として何の疑問も感じないものか。だとするならそれもある意味驚異だ。(上地義男)
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