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ヤシガニ、保護条例案に「解禁制度」 石垣市

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保護の対象となることが予定されているヤシガニ=2012年7月3日夜、大浜海岸で撮影

 個体数が激減し、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危険が増大している種)に分類されているヤシガニを保護しつつ、食材として持続的な活用を図ろうと石垣市は16日、ヤシガニ保護条例検討協議会(会長・岩下幸司農林水産部長、委員9人)を設置し、条例案の大枠を提示した。すでに同様の条例を施行している多良間村、宮古島市とは違い、解禁制度や流通監視体制など独自のルールを盛り込んだのが特徴。2月11日に市民講演会を開催し、理解と協力を求めていく考え。条例制定時期については講演会後の次回協議会で示す。

 条例案は、資源量が減少している主要因と考えられる「乱獲」に焦点を当て、乱獲につながりやすい観光客相手の営利利用を制限する内容で、捕獲規制と流通監視体制の二つで構成される。居酒屋などに販売するための捕獲を制限し、自家消費は対象外とする予定だ。

 捕獲はすべての雌、小型と大型の雄を禁止。多良間や宮古島市では6―8月などの繁殖期を捕獲禁止としているのに対し、繁殖期後の捕獲を許可する解禁制を検討、案として9―11月を提示した。

 冬場、土中に過ごすヤシガニは繁殖期後に太るため、9―11月に食材としての旬を迎えるという。これにより、付加価値を高めてブランド化も狙う。

 流通監視は、ヤシガニの取引窓口を1カ所に制限し、捕獲者は窓口で売り、利用者は相対で買うという仕組み。「石垣産」であることを証明する管理番号入りのタグを製作し、ヤシガニにつけてトレーサビリティーも確保する。

 通年の捕獲を禁止する保護区の設定も予定。条例に違反したケースには罰則を科すことも想定している。

 2007年からヤシガニを研究し、市から今回の調査を委託されている独立行政法人水産総合研究センター西海区水産研究所亜熱帯研究センター亜熱帯資源管理グループの佐藤琢研究員は「解禁期間だとポジティブになる(捕獲活動が活発になり、高値で取引されうる)。ただ、規制するからには付加価値を高めなければならない。流通監視体制をとれば他島のヤシガニの保護にもつながる」と話した。

 協議会では捕獲禁止サイズ、解禁期間、取扱窓口の委託、捕獲者の理解などで議論になり、今後、内容を詰めていくことにした。


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