大浜集落西側の標高約25㍍の石灰岩丘陵上に位置し、石塁(せきるい)遺構(石積み)の復元などが進められている国指定史跡「フルスト原遺跡」の崖下で本年度、公園広場が整備されるという▼市が一括交付金を活用し、遺跡と周辺の井戸や御嶽とを連結する空間として、約3000平方㍍で駐車場や説明版、通路などを整備し、観光客ら来訪者のアクセス環境を改善するという▼同遺跡は、1978年の国指定。15世紀後半に活躍したオヤケアカハチの居城と考える説もあるが、それより100年ほど前から遺跡が存在していたことが分かっており、大浜村の歴史を知る上で貴重な史跡だ▼市教育委員会文化財課によると現在、同遺跡では確認されている15基の石塁遺構のうち、7基が復元され、自由に見ることが可能だ。今後は、復元する部分と石積みの痕跡だけを残す部分とに分けて、整備を進めるという▼崖下には大浜集落で古くから使われていた降り井戸や御嶽、トンネル壕(ごう)など貴重な歴史遺産もある。少し歩けば崎原公園内に、大津波の力を示す巨大な津波石もある▼今回の整備で同遺跡周辺のアクセス環境が改善されることで、遺跡一帯が観光コースとなる可能性も。大浜地域にとっては、遺跡を活用した活性化に期待が高まりそうだ。(下野宏一)
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