2013年3月7日の南ぬ島石垣空港の開港以降の好調な観光に伴い、ホテルや飲食などの業界を中心に従業員を求める求人数が大幅に増加し「人手不足」が深刻化しているのを受け、石垣市内の事業所には、賃金の引き上げのほか、アルバイトやパートから正社員での募集に転換する動きが広がっている。「雇用条件をよくして求職者を惹きつけたい」と人材確保にあの手この手で対策を講じているようだ。
新空港開港後、求人数が求職者数を上回る傾向が続き、昨年5月から求人側に賃金値上げの動きが出ているが、依然として人手不足の解消には至っていない。
八重山公共職業安定所(下里勝則所長)が発表した八重山管内の雇用状況によると、14年10~12月期の月間有効求人数(月平均)が1058人に対し、月間有効求職者数(月平均)は1001人で、求人数が求職者数を上回っている。就職件数は248件で前年同期から62件減った。
昨年は大手コンビニの進出があり、今年は大型電化製品店やベビー・子ども用品店の新規出店が計画されるなど、求人数が増える見通し。同所は「好調な観光の流れが求人を後押しするも、人手不足は引き続き顕著。雇用の供給過多状態にある」と分析する。
市内のあるホテルでは昨年からアルバイトやパートなどの賃金を100円上げたほか、給与を2万円アップして正社員を募集しているが、男性経営者(32)は「早急に人材を求めているが応募がない」と悲鳴。「雇用条件を変えながら求職者を惹きつけたい」と人材確保に苦労している。
正社員化で人材確保に努めているという市内居酒屋の男性経営者(35)は「正社員の雇用は、働き手が一定の収入を確保でき、店側は安定雇用につながるのがメリット。飲食店の正社員として責任感を持たせることで働く側の意識も変わる。人手不足の解消は、業界が雇用条件を見直すことが最善策ではないか」と指摘する。
下里所長は「人手不足を打開するため各企業が正社員化の条件見直しや正社員雇用の動きで求職者の定着を図っている。この流れを推し進めたい」と話している。