記者になりたてのころ、元石垣市長の石垣喜興氏(故人)から「ヤーカイクバ」(家においで)と呼び出された。訪ねても、茶を飲んで雑談するだけ。助役だった牧野清氏(故人)もいた▼その中で、石垣氏が冗舌だったのが「夢の懸け橋」談で、石垣島と竹富町の島々を七つの橋で結ぶという構想。石垣氏本人の発想なのかは分からないが、構想を打ち上げたものの、ボツになったらしい▼先日、伊良部大橋を見てきた。街のいたるところに祝いの横断幕やのぼりがあり、盛大な開通式が行われた。伊良部大橋は要請から40年かけて実現したといい、この日街は喜びにわいた▼宮古島市は1992年に池間大橋が開通、1995年に来間大橋、そして伊良部大橋が完成し、大神島と多良間島を除く離島が橋で結ばれたことになる▼石垣氏の言った「夢の懸け橋」の実現である。伊良部大橋は延長3540㍍、通行無料の橋では国内最長、橋の中には水道管や電線類、光ケーブルも敷設され、伊良部島の人々にとってはまさにライフラインだ▼これで急患が出ても、病院へ行ける。車のないお年寄りはフェリー廃止で困りそうだが、全体的に住民の利便性は劇的に向上する。観光も活性化しよう。ただ離島に橋が架かると、逆に過疎化する傾向もあり、住民の智恵と行政のバックアップで乗り越えてほしい。(黒島安隆)
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