阪神淡路大震災はきょう1月17日で発生から丸20年を迎えた。当時県八重山支庁にいて、県職員として被災地の神戸市長田に応援で派遣され、今は既に定年を迎えたわが同期生は、「もうそんなになるのか」と感慨深く振り返る▼「2月のいちばん寒いときに約1週間行ったけど、あちこちで何もかもが壊れる悲惨な光景の中、0度近い極寒にもかかわらず、倒壊した自宅のがれきに座って泣いている人もいて、本当に気の毒だった」と▼東日本大震災と同震災の違いは、東日本は犠牲者の9割が津波に対し、約6500人が犠牲になった同震災は9割が倒壊した建物や家具などの下敷きだったことだ。しかしその教訓に県も八重山も疑問符が付く▼県が2012年度から始めた耐震診断や改修の助成制度は、県全体もほぼそうだが石垣市は全く利用がない上に、美崎町など埋め立て地の液状化対策も具体策が見えないからだ▼助成は震度6で倒壊の恐れがある1981年以前の鉄筋コンクリート造りを対象にし、石垣市は約3400棟が該当するとみられる▼しかし市民の危機意識が低い上に実際の費用と助成額に大きな開きがあり負担が大きいため、全く利用は無しだ。せっかくの制度も教訓も生かされないと、万一の場合それは“人災”ということになる。(上地義男)
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