11月28日に開かれた与那国町臨時議会に外間守吉町長が再議に付した町内への陸上自衛隊沿岸監視部隊配備の賛否を問う住民投票条例は、大方の予想に反して野党の賛成多数で再可決され、1日、告示された▼再可決には出席議員の3分の2の賛成が必要で、与野党同数の議会勢力から廃案が濃厚視されていたが、与党2氏が採決を欠席。結果、再可決となった。だが、条例の「無効投票」の項目で、文言に重大な不備があり、現状では住民投票を実施しても投票が無効になるという▼野党議員3人は3日、同条例の一部を改正するため臨時議会の招集を町長に請求した。10日開会の12月定例会で審議され、数に勝る野党の賛成多数で可決される見通しだ▼だが、外間町長は中学生などに投票資格を持たせることを問題視しており、野党が修正協議に応じない場合は再び再議に付す考えを示しており、堂々巡り状態が続く可能性も▼町長も住民投票そのものには前向き。投票資格は2003年6月に実施した市町村合併の賛否を問う住民投票に基づいているが、町民の間でも義務教育の現場に政争の具と化した自衛隊配備問題を持ち込むことへの異論もある▼投票資格は一部の議員、町幹部だけの考えではなく、幅広い町民の意見を聞き、慎重に決定すべきだろう。(下野宏一)
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