ダスティン・ホフマン主演の映画「アウトブレイク」に似ている。アフリカから密輸入されたサルが、致死率の高い未知のウイルスを媒介、アウトブレイク(流行)が始まるという内容▼石垣市の姉妹都市・カウアイ郡(ハワイ州)がロケ地とあって、興味深く映画を見た。同時に非現実的な内容ではないと思った。最近のエボラ出血熱感染問題は、アフリカから先進地への二次感染が広がっている▼先日も米国に入国した感染患者を処置した医療関係者2人が二次感染し、不安を広げている。政府はウイルスの抑え込みに自信をみせているが、世界最高水準の感染症対策と医療設備を誇る米国ですら、この状況だ▼人々が世界を行き来するようになり、同時にウイルス性感染症のリスクも高まった。感染者が発症するまで潜伏期間が長いこともあって、ウイルスの侵入警戒は極めて難しい▼その中で日本は、危機感に乏しい国だ。国内でもしエボラ出血熱患者が出た場合、収容できる特定感染症指定医療機関・第一種感染症指定医療機関は、45施設92床という▼医療機関の備えが少なく、トレーニングも十分でない。もし石垣市で発症例が起きると、パニック状態になるだろう。その中で政府は自衛隊医療チームを感染の前線に派遣する検討を始めた。国際貢献はいいが、現状はどうだろうか。(黒島安隆)
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