東京・代々木公園で、蚊に刺された22人の男女がデング熱を発症、公園を一時封鎖し、蚊の駆除を行うなど大騒ぎになった▼発症した人々の大半が海外への渡航歴がなかったからだ。海外で蚊に刺され、帰国後にデング熱を発症した患者は今年は98人確認されており、昨年は249人だったという▼ウイルスを保有した人が蚊に刺され、その蚊が若者らを刺したとみられるが「国内感染」は実に70年ぶりという。今回は蚊の行動範囲が狭いため比較的早く終息するとみられていたが、その後発症者が相次ぎ、注目される事態になった▼このニュースで、ある期待感を持った。厚労省や医療関係者が、熱帯性の疾患に対する知識と警戒感を高める雰囲気が生じているからだ。このようなケースは、国際化推進の一つのリスクである▼ところが危機感に乏しい。数百年もマラリアに悩まされ、やっと撲滅された八重山住民の一人として、市や県、国に緊張感を持ってほしいと思っているからだ▼万一、八重山でマラリアが再流行したなら何もかも積み木崩しになる。蚊の撲滅も、昔のように強力殺虫剤を雪のように噴霧することはできない。医師の大半がマラリア患者の症例を見たことがない。しかし過去にはマラリア原虫の感染者が石垣市に入って発症、死亡した例もあるのだ。(黒島安隆)
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