各地域でプーリィ(豊年祭)が真っ盛り。島内最大の四カ字のムラプールは、あす真乙姥御嶽で繰り広げられる▼プーリィは各御嶽で神司の厳かな祈願に始まり、その地域独特の儀式や祭事が行われる。八重山の祭りはその昔、首里王府の禁止令を受けながらも絶えることなく受け継がれ、多くの芸能を育んできた▼ムラプールで、真乙姥御嶽の前に並ぶ各字自慢の旗頭、女性だけの綱引き「アヒァー綱」「サァー、サァー、サァー」のガーリーの響きに、なぜか胸が躍るのは不思議な感覚で祭りの魅力だろう▼豊年祭に限らず、南国ならではの奉納芸能や地域色豊かな祭りを目的に訪れる観光客がとても増えている。小さな集落の祭りなどは地域の人よりカメラを持った外部の人々の方が多いのではと感じることも▼中には知らないとはいえ、神司しか入れない御嶽のイビ(聖域)に入って写真を撮ろうとする者や、ネットやブログ上で「これって本当?」と思うような写真や書き込みがされているという話も聞く▼一部の見学者のマナーの悪さから、規制を厳しくしている地域もあるようだ。本来は見せ物ではなかった祭りがイベント的になっているのは少し寂しい気もするが、島の精神的な文化遺産としての祭り。地域に応じたマナーとモラルを守り楽しんでほしいと思う。(辻本順子)
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