■離島の避難施設に発電設備
猛烈な台風8号が接近するなど沖縄は、本格的な台風シーズンに入った。県では台風や地震などの災害時に地域の防災拠点や避難所となる役所や公民館、学校などに太陽光発電設備や蓄電施設を設置するため、環境省の「再生可能エネルギー等導入推進基金」(グリーンニューディール基金)事業を本年度から導入。2016年度までの3年計画で県内各市町村の防災・避難施設を順次整備していくことになった。
環境省から14億円の配分額が内示されており、9月定例県議会で同配分額を事業原資とする基金設置条例などの承認を得た後、専門家による有識者会議を設置し、事業を開始する。
県環境政策課では、特に災害時に孤立の恐れがあり、復旧に時間がかかる離島やへき地の防災拠点や避難所を重点に整備する方針を示しており、今月いっぱいで現在県内各市町村に照会している要望を取りまとめ、11月ごろには3カ年の全体計画や本年度の設置場所、選定方法などが決まる見通し。
毎年のように台風被害に遭い、常に孤立の恐れのある離島の八重山3市町は、この機会に積極的に整備を求めるべきだし、県も配慮があるべきだ。
■最低でも3日間の発電確保
環境省の同基金は、東日本大震災と福島原発事故で全国の電力需給が逼迫(ひっぱく)したため、防災拠点や避難所に太陽光や風力、小水力、バイオマスなどの再生可能エネルギー発電設備や蓄電池等を導入し、災害に強く低炭素な地域づくりを推進するとして、事業を導入する各都道府県と政令指定都市を対象に基金を配分している。
12年度から年度ごとに15自治体前後に交付しており、3年目の本年度は沖縄を含む19自治体が認められた。
事業は自治体から防災拠点や避難所に指定された役所施設や公民館、学校体育館などの公共施設が100%補助に対し、津波の避難ビルなど民間施設は3分の1しか補助がなく、しかも太陽光の売電もできないため、他府県の例では民間の希望は少ないという。
発電設備は太陽光と蓄電池のセットが基本だが、県環境整備課によると、同設備は東日本大震災の例から停電時に3日~1週間程度の発電を可能とする設備を想定しているようだ。
■激しい競争率?
13年度に8億円の配分を受けた滋賀県は、県が1億円上積みして9億円の事業費で県施設4カ所、市町村施設27カ所、民間6カ所の計37カ所の整備を想定。19億円の大阪府は市町村分で70カ所を公募で整備計画という。
これに対し14億円の交付金が内示された沖縄は、恐らく50カ所前後になるとみられるが、離島・へき地が多いだけに各市町村の希望は多いだろう。
特に近年は台風対策といえば停電対策といわれるだけに、3市町の希望が果たしてどれだけ認められるかだ。
約200本の電柱がなぎ倒され、石垣島で約8割の1万9000世帯、その他の島もほぼ全域で最長9日間も停電した06年の台風13号を教訓に3市町は各集落や島々からも意見を募り、事業効果の高いところから優先順位を付けて県に要望。必要な箇所は各市町が独自にも年次的に整備を進めるべきだ。