八重山地方で11日朝、濃い霧が発生し、石垣島地方気象台は同日午前8時25分から濃霧注意報を発令した。八重山各地は濃霧が立ちこめて視界不良となり、石垣島と小浜島を結ぶ竹富南航路の浅瀬に旅客船が抵触する事故が発生、空・海の便に遅れが出た。さらに霧を煙と勘違いして住民が119番通報するハプニングもあった。注意報は同10時17分に解除された。
気象台によると、八重山地方は10日の降雨の影響で湿った空気に覆われて風が弱く、霧の発生しやすい気象状態にあったという。濃霧は目標物が見えなくなる距離が陸上で100㍍以下、海上で500㍍以下を基準としており、気象台はこれに準じて注意報を出した。注意報は昨年4月17日以来1年ぶり。
石垣市内は午前8時すぎから低い所にも霧が覆い始め、100㍍先の視界が遮られた。通常なら市街地から見えるバンナ岳や前勢岳はふもとからすっぽりと霧に覆われて姿を消した。道路ではライトをつけて走行する車両が目立った。
海上では同日午前8時18分ごろ、石垣島ドリーム観光の小浜行きの旅客船が竹富南航路をゆっくりとした速さで運航中に海底に接触した。けが人はない。同社は「急に視界が悪くなった」と話した。
海路では同社の黒島行が欠航したほか、他社も出港時間を遅らせたり、速度を落としたりするなどの対応を余儀なくされ、午前中のダイヤが一部乱れた。
空の便は、那覇空港から南ぬ島石垣空港に到着する予定だった日本トランスオーシャン航空(JTA)の1機、全日本空輸(ANA)の1機がそれぞれ濃霧のため上空で待機。8時25分着予定のJTA機は約45分遅れ、午前8時40分着予定のANA機は約35分遅れて着陸した。
市内では午前8時28分ごろ、登野城の住民から「外で煙が出ている。付近で火災が起きているのではないか」との119番通報があり、市消防がポンプ車1台を出動させた。
消防によると、出動後、通報者の勘違いだったことが判明したが、念のため周辺を回って火災がないかどうか確認した。