かつて公休日は旗日と称され、各戸の門には日の丸が立ち並んだ。子どもたちがその役割を担った▼その後、民主化で自由が幅を利かすようになったら日の丸は戦争を思い出し嫌だ、君が代は皇室崇拝の意味合いが強過ぎるなどの理由で減少。教育現場では管理職と職員間で掲揚掲示するしないの対立、自殺者も出た▼折、今上天皇が「日の丸掲揚と君が代斉唱は強制にならないことが望ましい」と述べられ、国旗国歌法制定に際しても小渕恵三首相は「国民に義務付けるものではない。自国の国旗と国歌の意義を理解しそれを尊重し、あわせて外国の国旗国歌にも敬意を表せる態度を育んでもらえたら…」と託した▼以来、学校や地域行事の日の丸掲揚、君が代斉唱は穏やかに行われている。そのように見える、しかし実際はどうか▼日の丸が大好きと言うと右翼、君が代を口にしないと左翼と決めつけてしまう人が今もいる。近隣諸国を敬い仲良くしようという一方でヘイトスピーチを行い外国の旗を踏みにじり焼いてしまう人も見かける▼亡父が大事にしてきた旗日用の黄ばんだ日の丸と竿頭(かんとう)、先日百円ショップから買ってきた日の丸で作った自慢のたこ、を前にどちらも敬愛の表れと照れる私▼時勢に左右された国旗を永代まで責め続ける訳にもいくまい。(仲間清隆)
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