岩手県宮古市の真崎海岸に「がっかり島」という名の無人島がある。「切り立った岩場」の意とか、三陸沿岸はあわびの宝庫なのに、この島近辺だけとれないから、など諸説あるという。労に見合わず獲物がなければ、さぞかし落胆するだろう▼そろそろ子どもたちの保育園決定通知が届く頃だ。「保育園落ちた」とか、希望の園に入れなかった、あるいは兄弟別々の園になったなどと、がっかりする親子がいないことを祈る▼振り返れば17年解散総選挙で少子高齢化を「国難」と呼んだのは誰だったか。そもそも公立保育所の整備補助金を廃止、民営化を進めて「待機児童」を生んだのは政府与党ではなかったか▼今秋、消費税増税を財源に保育料が無償化になる。でも施設も保育士も不足のまま。必要なのは「目くらまし」の無償化より「待機ゼロ」▼なのに、宮腰少子化担当大臣から「子連れ出勤」など能天気発言が飛び出した。「子どもは母親と一緒がいい」とも。働く女性に子連れ出勤させ、育児を押し付ける発想が貧しい▼1日の石垣市臨時議会は陸自配備住民投票を否決した。民意の代弁機関たる議会が市民の意思表示の権利と機会を奪う愚行。島の未来を担う子どもたちへ向ける顔があるか。署名の重みを思えば、がっかり以外に言葉が見つからない。(慶田盛伸)
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