【那覇】第97回全国高校サッカー選手権県大会がこのほど行われ、那覇西高校が強豪・西原高校を延長の末、破り2年ぶり16度目の優勝を決め、全国高校選手権への切符を手に入れた。県大会では準決勝で決勝点、決勝戦では先制点を奪うなど那覇西の攻撃の要となっているのが石垣中学校出身の金城竜馬君(3年)だ。今月30日には、全国大会で東京・駒沢陸上競技場で駒沢大高校との初戦を戦う。
金城君がサッカーを始めたのは幼稚園のころ。サッカーのセンスを見込まれ、父親の友人が監督を務めるチームで小学生にまじり練習に励んだ。
小学校、中学校でサッカーに打ち込んだ金城君は、県大会など沖縄本島でプレーした経験から「県内で一番サッカーの強い学校に入る」と決意。期待を胸に那覇西に入学した。入学当初、周りに知り合いは一人もおらず「不安で最初の1~2週間は気分も落ち込んだ。ホームシックにもなった」と打ち明ける。
サッカーを通して次第に友人もでき「チームメートはみな優しかった」が、レギュラー争いとなるとそこは実力勝負の世界。本島出身者たちとの力の差をまざまざと見せられた。
小学校の時からのポジション・フォワードを諦めて「守備に回ろうか」と弱気になることもあったが「体力とスピードには自信があった。徹底的にそこを鍛えていこう」と一念発起。練習量を人一倍増やし、120人の部員がひしめく競争の中、見事、フォワードでレギュラーの座を獲得した。
監督の平安山良太監督は金城君について「離島出身で大変な苦労があったと思うが、持ち前のまじめさで今では後輩の手本となる選手に育った」と評する。
チームは全国大会に向け最後の追い込みに入っており、目指すは県勢ではまだ成し遂げていないベスト4進出だ。
高校卒業後は、教員を目指すという金城君は、全国大会を最後の舞台と位置づけており「両親はもちろん、島の人たちへも感謝している。30日は、地元の人たちを勇気づけられるようなプレーをしたい」と意気込んだ。