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戦時中の体験など描く 潮平さんがデッサン展

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自らの体験などを描いたデッサンについて説明する潮平正道さん=14日午前、八重山平和祈念館

 戦時中、鉄血勤皇隊として軍作業に従事した潮平正道さん(85)=石垣市石垣=が、自らの体験や知人の証言をもとに描いたデッサンの展示会(八重山戦争マラリアを語り継ぐ会など主催)が14日、3日間の日程で八重山平和祈念館で始まった。デッサン49点に、参考資料を加えた計67点。「半分以上は体験したことを描いている」というデッサンは、生々しい描写で戦時中の生活をほうふつとさせる。

 潮平さんは当時、旧制中学1年生。1、2年生は自宅から通って勤皇隊に所属していたため、民間と軍隊の両方の生活を体験した。父親の寛保さんが住民の食料を確保する食糧営団の責任者だったことから、軍の横暴も垣間見ることができた。家族は、父親が公職にあった関係で於茂登岳の軍司令部に近い白水への避難を強制されたという。

 デッサンを描くようになったのは20年ほど前。6月の平和月間に学校から講話の依頼を受けるようになったが、体験談だけでは伝わらないと思い、始めたのがきっかけ。

 白水での避難生活、マラリアに罹患(りかん)した住民、戸板やもっこでの遺体搬送、遺体を焼く煙、遺体の埋葬、突然の機銃掃射、朝鮮人軍属の苦悩などを描いている。埋葬された幼児の手を引きずり出そうとする野良犬の姿も。

 展示作品のうち、マラリアで死んだ2人目の娘を、新川の海岸近くの砂地に埋める母と息子を描いたデッサンには「その砂地は、戦後間もなく米軍の民政官府を建てるために整地され、立ち入り禁止となったので、娘の遺骨は埋められたまま掘り起こすことができなくなった」と記されている。

 その娘の成仏を祈る母親、遺骨のない娘の魂を慰めようとワラを結んで枕元に置き、悲しみと病に耐える日々を送る年老いた母親の姿を描いている。

 さらに、友人と学校帰りの途中に機銃掃射を受けフクギに隠れて難を逃れた体験、軍が雨にぬれた米を父親に交換するよう求め、断られると「軍の命令は、天皇陛下の命令であるから、命令に背くお前は非国民だ」と発言した様子を描いた作品もある。

 展示は午前10時から午後5時。最終日は午後3時まで。15日午後1時から、潮平さんによる作品の説明・講話も予定されている。


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