■金環食
八重山が金環食に見える。
金環食は「日食の一種で月が太陽の中央部を覆い隠し、太陽の光が月の環状周囲に環状にみえるもの」(『広辞苑』)とある。一方、周りは輝いているが、中身は権謀術数が渦巻き真っ黒という意味に使われる場合もある。今の八重山は後者だ。
八重山入域観光客は3年連続100万台を超える勢いで、外国人観光客も増え、街はにぎわいを見せている。進出した大型店舗や夜の歓楽街を歩くと、ここが八重山かという錯覚に陥ることもしばしばだ。
石垣市では、3日から2日間、石垣島まつりや八重山の産業まつりが新栄公園を中心に行われる。西表島では祖納、干立の「節祭」が始まり、与那国の「マチリ」もやがてだ。
観光客のにぎわいや祭りの華やかさの陰で、策略などのうごめきが目に付く。
約1カ月にわたり議長選を繰り返した与那国町議会議長選挙。教育長人事との交換条件を示し、町長の専決処分が難しいと分かると、一転、議長を選出した与党の責任は免れない。
前西原新議長は「苦渋の選択」と言う前に町民に謝罪すべきではないか。外間町長は「議会には是々非々で品位と品格を取り戻してほしい」と述べている。当然のことだが、外間町長自身の策略はなかったか。議会の品位と品格をいうならば、外間町長自身も、かみしめるべきだろう。
■自衛隊ブース中止を
石垣島まつりには、自衛隊沖縄地方防衛本部石垣出張所による自衛隊広報活動ブースが設けられるという。「ブース」は押し上げる意味で、自衛隊の広報活動である。
防衛省は今月中にも、平得大俣の基地建設予定地の造成工事の入札公告を行い、年明けにも着工する見通しという。造成工事が来年度以降になると、沖縄県の環境評価(アセスメント)条例の改正で20㌶以上の土地造成を伴う事業が対象となるため、駆け込み着工を強行するつもりだ。
防衛省の住民説明会はいいことずくめの回答と、都合が悪くなると仮定の問題には答えられませんという説明だけで、住民は納得していない。にもかかわらず防衛省の都合で建設を強行することなど到底できないはずだ。
そんな中での自衛隊の広報ブースは何を意味するのか。
新栄公園には戦争を放棄した「憲法九条の碑」「非核平和宣言都市の碑」「石垣市非核平和都市宣言」が建ち、「世界平和の鐘」「ほほえみの鐘」も設置されている。説明板はないが、戦時中の石垣島気象台の弾痕壁面も建っている。今回の広報活動は、戦争で多くの死者を出した市民感情を逆なでするものだ。
■他力本願の行政・議会
中山市長は国防、外交は国の専権事項を盾に自衛隊基地建設を容認している。一方、行政を監視する立場の与党議員はその役目を果たさず、市長の上意下達に盲従しているように映る。
「市民の生命、財産」を脅かす問題があれば議会はどうすべきか。市の「国民保護計画」はこれでいいのか。また「環境評価」(アセスメント)を実施する必要はないのか。
防衛省に丸投げし、他律的に事が処理されるならば市長や議員は必要ない。12月議会で、基地予定地の半分を占める市有地売却などもってのほかだろう。