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八重山出身の子も戦場に

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■自衛隊に八重山から580人

 自衛隊石垣出張所の資料によると、1972年の本土復帰以降ことしまでに八重山から自衛隊に入隊したのは累計で約580人に上る。そのうち100人以上は既に採用期間満了や個人的事情などで辞めているとみられるが、毎年10人前後が入隊している。入隊の理由は国を守りたいため、あるいは災害救助のためとか、仕事がなかったからなどさまざまだろうが、その八重山出身の隊員らがもしかしたら戦場に駆り出され、犠牲になる可能性も出てきた。

 それは安倍政権が、戦後の歴代内閣が国会などを通して一貫して「憲法9条のもとでは行使は認められない」として積み重ねてきた憲法解釈を強引に変更し、集団的自衛権の行使容認に強硬に踏み切る構えにあるからだ。

 集団的自衛権とは、アメリカなど密接な関係にある同盟国などが武力攻撃された場合、日本が攻撃を受けていなくても日本が攻撃を受けたものとして実力行使できる権利のこと。

 その権利が容認されると、戦争放棄と戦力不保持を掲げている憲法9条の制約がなくなり、政府がいくら「行使は限定的」と強調しても、政治が必要と決断すれば歯止めがなくなり、どんな戦争にも参加できることになる。

 

 

■自衛隊が直接戦争に参加

 となると自衛隊は、たとえばそれがイラク戦争のように間違った情報に基づくものであっても次々戦争に加担。しかもそれは延べ約5500人の自衛隊員が派遣されたイラク戦争のように後方支援でなく、銃弾が飛び交う戦場に送り出され、当然のことながら負傷だけでなく命を失うこともある。

 それは所属部署にもよるだろうが、一般論で言えば八重山出身の隊員も例外ではない。銃弾や砲弾が飛び交う戦場に駆り出され、自らの命が犠牲になる恐れがあるだけでなく、相手国の軍人を殺すということにもなり、自衛隊員にはそういう恐ろしい殺し合いの覚悟が求められることになる。

 教職員の労組団体である日教組は戦後、「教え子を再び戦場に送るな」をスローガンに平和運動を進めて来た。わが国唯一の地上戦で20万人余の犠牲者を出した沖縄は、今なお基地負担を強いられ、特にそういう思いは強い。

 

■ “積極的戦争主義”に警戒感

 それが脈々と今の「慰霊の日」を中心にした平和学習につながっている。しかしそれを批判する石垣市教育長が出現したように、今やそれが安倍タカ派政権によって危機にひんしている。

 そういう自衛隊が軍隊になり、若い自衛隊員の命が奪われかねない「戦争をしない国」から「戦争する国」に、国の根幹が変わる重要な問題が、憲法改正でなく、解釈変更で容認されるというのは決して許されるべきでない。 「積極的平和主義」と称して特定秘密保護法案を制定し、従来の武器禁輸を撤廃して集団的自衛権行使容認で、“積極的戦争主義”に前のめりになる安倍政権に対し、関係悪化が続く中韓はさらに不信を増幅させ、肝心の米国も表向き歓迎の一方で警戒感を示す。

 なぜ他国を挑発してまで戦争準備を急ぐのか。どのような国にしたいのか明確な説明もないまま安倍首相の危険な主義主張強行を許すべきでない。


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