下村博文文部科学相が、地区内で同一教科書の採択を義務付けた教科書無償措置法に違反しているとして、竹富町教育委員会(慶田盛安三教育長)に是正要求を行っている中、町教委は7日、是正要求に応じず東京書籍版の公民教科書46冊を町内全中学校9校に配布した。転入生1人分はすでに注文しており、授業開始までには配布される見通し。町教委では10日に臨時委員会を開いて、是正要求に対する国地方係争処理委員会への審査申し出について協議する。町教委によると、生徒に配布した東京書籍版の教科書は町にゆかりのある篤志家から各学校ごとの必要冊数が寄せられたという。転入生1人分は注文が間に合わなかったが、授業開始までには同様の手続きで配布される。
このうち、西表島の船浦中学校(砂川芳広校長・生徒35人)では入学式終了後の同日午後2時すぎ、教室で教科書が配布され、3年生12人が真新しい教科書を手に取り、東京書籍版の公民教科書を含む一つ一つの教科書に名前を書いていった。
是正要求に従わず東京書籍版を配布することは3月の町教育委員会定例会で確認しており、慶田盛教育長は「(配布は)予定通り。2年間同じ教科書でやってきて現場からは良い評価を得ている。政治が介入して教科書を偏向する方が混乱を招く。(町教委は)従来通りのスタンスを崩さずに教科書を使用する」と話した。
また、文科相の是正要求に対する国地方係争処理委員会への審査の申し出期限が11日に迫っていることから、町教委では10日に同審査や違法確認訴訟の概要などについての勉強会を兼ねた臨時委員会を開き、今後の対応を協議する。