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迫る全国学力テスト

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■問われる実施目的

 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が来月22日に行われる。対象は小学6年、中学3年で教科は国語、算数(数学)。昨年に続き全児童生徒に対して行われる。

 この全国学テは、何のために膨大な予算を使って実施するのかよく分からないところがある。そればかりか当初計画からその結果使用方法が変質していっている向きがある。

 わが国の教育水準を維持し、レベルアップを図るためであるならば、それに見合った使用が求められる。

 2012年度は調査に理科が追加された。児童生徒の理科離れが進み「科学立国ニッポン」の将来が危ぶまれている現状をかんがみ、それに見合う教育を施す―このような確固とした理念があればいい。単なる学力比較だけでは毎年実施、全数調査の必要はあるまい。

 

■順序付けで好転するのか

 本年度から学校別の成績公表を各教育委員会に委ねることになった。順位付けをすることで競争論理を高め、叱咤(しった)する意図が透けて見えてくる。果たしてこのような数値信仰とも言うべきことで学力が向上するのか。各学校、教育委員会で励んでいる一連の施策を否定するものではない。むしろ激励する立場に立つ。されど「だが、待てよ」の疑問符が付きまとう。

 昨年、静岡県知事が成績下位校100校の校長名を公表する—ということで物議を醸したことは記憶に新しい。近くは、去る2月26日開会の宮古島市議会において下地俊彦市長は、14年度施政方針で成績公表を明らかにした。学校名公表は県内では初めてとなる。

 子どもたちは何のために学ぶのか。目的は多々あろう。その手段方法も種々ある。だが、個々人の集合で成す学校での学びは、知識獲得の喜びに満ちていなければならない。「個」が保持している「知」が飛び交い、それを錬磨させた「新たな発見」でなければならない。順位付けで尻を叩き、変動で一喜一憂する—こんなことで学力が向上、定着するだろうか。どこまでも学校での知識の獲得は、授業を通しこれまで培った文化遺産である原理原則を駆使した新たな創造という営みがあって初めて可能となるのでないか。

 

■3教委は意思疎通を

 同調査は、生活面も含め貴重な資料が豊富にある。これを日々の授業に創造的に生かさなければならない。教育委員会や校長は、そのためにこそ全国学テ結果を活用すべきではないか。付け焼き刃的な尻たたき訓練学習や脅しや辱めにも似た公表では、たとえ数値が上がったにしても一過性のもの。このことを識者は、建造物のモルタルに例え「知識の剥落(はくらく)」という。恒常的に一定水準を保つことにこそ努力を傾注すべきだ。その手段としての学テ公表にはくみしない。

 八重山3市町教委はどうするだろうか。学校規模の大小が顕著、小規模校が多いことを勘案したとき、順位付けによる適正なデータは得られにくい。学校生活にも影を落とそう。父母の理解も得られまい。意思疎通を図ってほしい。それは自らの思考で、協働的な論理を形成してはじめてかなう。


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