「八重山でもこんなことがあったとは」という声や「毎朝新聞を読む時、最初にこのコーナーに目がいくさー」との感想が寄せられた▼米軍が沖縄に攻撃を開始した1945年3月23日と同日から連載中の「八重山の戦争日誌」を担当して約3カ月がたった▼戦後70年の節目に『八重山の戦争』を著した大田静男さんが長年収集してきた米英軍、日本軍の資料や記録、日記や証言から戦時中の住民の疎開や追い詰められていく様子を記している▼大田さんの元にも掲載写真を見て「この壕の中で生まれた」という男性や、朝鮮人軍夫と関わった方などから多くの反響があり「新たな事実も次々と分かって驚いている。上陸はなかったが軍隊のない島でも攻撃の対象となるし、赤十字のマークがあっても攻撃される。戦争が始まったら何が起こるか分からない。恐ろしい」と話す▼あすは慰霊の日。小中高校や各地域で平和学習が行われている。戦争体験が遠のき、あと数年もすると体験者はもっと少なくなり、伝える側も受け継ぐ側もさらに厳しい時代になる▼もと来た道に戻らないためにも体験者の証言を「退屈」と感じるゆとり世代や、バーチャル世代に戦争の悲惨さをきっちりと伝えなければならないが、どうすれば継承できるか、いま一度見直す必要があるのではないかと思う。(辻本順子)
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