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懸念あれば運動継続は当然

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 ■平和的生存権を侵害

 

 与那国島への陸上自衛隊配備に反対する町民グループ30人(共同代表・上地国生、田里千代基、崎元俊男)が今月初め、自衛隊基地建設で平和的生存権が侵害されるとして、駐屯地や監視レーダーの建設差し止めを求める仮処分を那覇地裁石垣支部に申し立てた。

 この仮処分申請には自衛隊建設を推進する島の住民らからは「住民投票の結果、過半数が賛成したのに何をいまさら」と批判がある。しかし自衛隊基地建設に懸念があるなら住民投票の結果で賛成が多数であっても、また実際に工事が進んでいても反対運動の継続は必要だし、その懸念を防衛省や町をはじめ裁判所に問うのは当然だろう。

 申し立てでは、尖閣諸島をめぐる緊張が高まる中、最前線の与那国に軍事施設ができれば武力攻撃に巻き込まれる危険性が生じる。しかも軍事衝突時の避難方法も示されず、平和的生存権が侵害されると主張。

 さらに沿岸監視レーダーが発する電磁波でも健康被害が生じるほか、通信監視施設で町民の携帯電話の通話が傍受され、人格権やプライバシーの侵害もあると主張している。

 

 ■武力攻撃の危険性増す

 

 与那国の陸上自衛隊沿岸監視部隊配備に関しては約4カ月前の今年2月、反対住民らの要求でその是非を問う住民投票が行われた。その結果は賛成が全投票者の約58%の632票、反対が約4割の445票となった。

 しかし反対住民は、「住民投票で賛成が上回ったからといって私たちが訴えてきた懸念や不安が解決したわけではない。自衛隊が配備されれば武力攻撃のほか、与那国の政治・経済は自衛隊に振り回されるなどあまりにも問題が多い」として今回その懸念をあらためて防衛省や町に問い、司法に判断してもらうため工事差し止めを提訴した。

 その中で武力攻撃の懸念については本紙に連載中の大田静男氏の「戦後70年八重山の戦争日誌」を見れば明らかだ。郡内の飛行場や通信施設などすべての軍事施設が連日米英軍の艦砲射撃や空襲を受け、その結果大舛久雄支庁長ら大勢の人々が犠牲になり、負傷した。そして日本軍は住民を守らず、むしろ“戦争マラリア死”に追い込んでいた実態が明らかになっている。

 

 ■先島を軍事要塞化

 

 宮古、八重山は「南西諸島の空白域を埋める」という防衛省の身勝手な論理で尖閣防衛の最前線となる“軍事要塞(ようさい)化”が進められ、与那国がそのきっかけとなった。それは国内のほとんどの憲法学者から「違憲法案」「戦争法案」として大ブーイングを受けている「安保関連法案」とも関連している。

 米国に追随し、「平和国家日本」を「戦争する国」に大転換する安保関連法案や辺野古の米軍基地建設と南西諸島への自衛隊配備を安倍政権は「抑止力」という。しかし中国は逆にこれらに反発、尖閣をにらんで大規模軍事拠点の建設に相次ぎ着手。抑止力どころか、さらに緊張状態を高めている。

 それは戦争に巻き込まれる危険性がさらに増すということであり、子や孫の未来のためにも憲法違反の「戦争法案」と武力攻撃の標的になる軍事施設建設は何としても止めたいものだ。


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