「この素晴らしい日を決して忘れない」。石垣島が生んだヒーロー具志堅用高氏(59)が、国際ボクシング殿堂入りを果たした。小さな島から世界に輝く快挙。心から「おめでとう」と祝福の言葉を贈りたい▼郷里を離れて興南高校でボクシングに打ち込み、インターハイで優勝した。1976年、プロデビュー9戦目でWBA世界ジュニアフライ級タイトル戦に挑み、王者のファン・グスマン(ドミニカ)に7回KO勝ちし、県勢初の世界王者になった▼以後、日本記録となる世界王座13連続防衛の偉業を成し遂げた。これは今だ破られていない。日本人では前人未到の6連続KO達成。戦績24戦23勝(15KO)1敗で県民、国民を沸かせた鮮やかなKOシーンはリングの華だった▼具志堅氏が活躍した時代。本土ではウチナーンチュに対する差別的な風潮も少なくなかった。そんな中、郷里のカンムリワシをシンボルに世界戦を勝ち進む闘志と目標を一つ一つ実現する姿は県民を勇気づけた▼具志堅氏といえば現役時代を今も変わらない人間味のある素朴な人柄だ。それは練習で培った一生懸命の精神にあるように思えてならない▼時代には時代のヒーローがいる。世界殿堂入りは県民の誇りであり、時は流れてゆくが、一世を風靡(ふうび)したあのファイティングを忘れまい。(鬚川修)
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