「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返す政府の発言を聞くたびに思い出すのが、かつて新石垣空港建設で県や市が「建設場所はそこしかない」と白保海上案に固執したことだ▼しかし同案は、「美しいサンゴの海を守ろう」の反対運動で事業開始から10年目に、それも調査段階で断念に追い込まれたのは周知の通り▼その際推進団体からも、「そこ(白保海上)しかないというから早期建設のために何でもやったのに。行政のメンツに10年間も振り回された」と強い憤りがあったが、今の辺野古の状況もそれと似ていないか▼ただし辺野古案は、普天間飛行場の固定化を人質に、「辺野古に造らさなければ周辺住民がどうなっても知らんぞ」と脅しをかけているようなものだから悪質だ▼「辺野古が唯一の解決策」でないのは政府も重々承知だ。ただアメリカに頭が上がらず、いまさら本土の人々を説得するのも難儀だから沖縄に押し付け、怠慢を決め込んでいるのだからひどい。県内の移設容認派はその点も十分認識しての容認だろうか▼白保海上案も辺野古のように警察や海保を動員。反対住民を排除して強引に調査を進めたが、結局新空港は開港まで30年余を要した。強引な手法が破綻するのは新空港の例が示している。辺野古も早期断念が早期解決の道だ。(上地義男)
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