読者の皆さんは「盆栽」というと何を連想するだろうか。多くが「年寄りの趣味」と思うだろう。実際、石垣市内で本格的に盆栽に取り組んでいる人の大半は50代以降。底辺拡大が模索されているが、若い人の関心はいまひとつのようだ▼盆栽は、日本が誇る「生きた芸術文化」と称され、樹齢数十年、数百年もの古木のたたずまいを小さな鉢の中で再現するのが醍醐味(だいごみ)。その根張りや枝ぶり、立ち上がりの様は古木そのもので、見応え十分だ▼先日、民放テレビで国外の盆栽愛好家が紹介されていたが、日本人顔負けの盆栽がずらりとならび、外国での人気の高さをうかがわせた▼市内の愛好家に聞くと、盆栽は小さな苗木から何年、何十年もかけ、コツコツと自分の好みに仕上げていく。日々の手入れに加え、台風ごとには一鉢一鉢棚に固定したり、家の中に入れたりと、台風常襲地帯の八重山では管理が大変。本当に好きでないと長続きしそうにない▼その盆栽を一堂に集めた日本盆栽協会八重山支部主催の「第30回八重山盆栽展」が9日から2日間、石垣市民会館展示ホールで開かれる▼定番のハマシタンを中心にガジュマルやブーゲンビレアなど会員が丹精込めて育て上げた盆栽23点が出展される。会場に足を運び、生きた芸術を肌で感じてほしい。(下野宏一)
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