午後11時を前に消灯する営業看板、人気のない通り。石垣島の歓楽街・美崎町は、夜間断水が始まった20日以降、いつものにぎわいとは違う表情をみせ始めている。「断水対策はしたが、万が一、水が止まって客に料理を提供できなければ店の信用を落とす。早めに帰宅する客も多く、売り上げはガタ落ち」と肩を落とす居酒屋店主。「美崎町だけでも水を」ー。美崎町を歩いてみると、必死の訴えに多くぶつかった。(砂川孫優記者)
■営業時間短縮
「ラストオーダーを午後10時半までとします」
ある居酒屋の店舗に、お知らせが張り出された。美崎町には、高架水槽のない建物が多く、あっても老朽化で使えないものがあるという。水槽の水を使用できない居酒屋では、断水前に洗い物や清掃などを終えようと、ラストオーダーを早めているのだ。
営業時間の短縮を余儀なくされている居酒屋店長は「貯水タンクの問題ではない。家庭用水と営業用水の区別を細分化し、水の供給量をコントロールして美崎町の夜間断水を短時間にできないか。行政は打開策を考えるべきだ」と訴える。
■かき入れ時に…
美崎町は、好調な観光や忘年会でかき入れ時を迎えているが、飲食店関係者によると入店時間の制限や、忘年会キャンセルなどで売り上げの落ち込みが出始めているという。
従来通り朝方まで営業する居酒屋もあるが、店長(37)は「賭けかもしれないが、売り上げを考慮して(水が)止まるまで営業する」と気が気でない。
飲食店関係者は「観光が好調なのに水を差された感じ。天災だけに怒りをどこにぶつけていいか分からない」と途方に暮れる。
■用足しも懸念
コンビニも「夜間断水中のトイレ利用は控えてください」と来店者に協力を求めている。
店員は「断水時間と重なる深夜はトイレ利用者が多いので使用を遠慮していただいている」と説明するが、断水以降にトイレを使用しようとする客が後を絶たず、「この影響で外で用を足さないか心配だ」と表情を曇らせた。