「ふるさとが 元気と知った 今日の記事」を代表標語に、きょうから全国一斉に新聞週間が始まった▼関連行事として、1994年から新聞配達に関するちょっといい話や心温まるエピソードなどを広く全国から募集する「エッセーコンテスト」が行われている▼今年、大学生・社会人部門で東京都の岩國哲人さん(78歳)の作品「おばあさんの新聞」が最優秀賞に輝いた。小学生の時、配達先のおばあさんはいつも優しく「てっちゃん、べんきょうして、えらい子になれよ」と、まだ読んでいない新聞を読ませてくれたという▼そのおばあさんが亡くなり、葬儀の席で「てつんど、おまえは知っとったか?おばあさんはお前が毎日来るのがうれしくて、読めないのに新聞をとっておられたんだよ」と聞かされる。「もうお礼を言うこともできない。涙が止まりませんでした」とつづった▼県内からは、浦添市の新垣夕希さん(33歳)の「優しい島ぞうり」が入選した。20代のころ、寝ているマンション住人の眠りを靴音で妨げないように、はだしで新聞配達をしていた初老の女性の姿に感銘を受け、「思いやりの気持ちはなくしたくない」と心から思うようになる▼心に残る新聞配達に関するいい話。新聞は、雨の日も風の日も読者の元に届けられる。配達員の優しさに感謝したい。(鬚川修)
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