公共工事に国民の目が厳しく注がれるようになって久しい▼先日、無料で通れる日本一長い夢の橋を架けた宮古島市を訪ねた。伊良部島とを結ぶもので来年の1月31日の供用予定。受益者の喜びは、いかばかりだろうと推察する半面、後の管理を考えると大変だろうなとあらぬ心配をしてきた▼伊良部大橋は最新工法で耐久性も優れていると聞いたが、沖縄では海洋性気候で鋼材やコンクリートに対する環境は険しい。その保全ひとつをとっても橋が巨大な分、それなりの経費がかかるのではないか▼宮古島市には、すでに池間大橋と来間大橋があり、その先例に倣っての無料措置だと思うが、伊良部島には、これまでも車はフェリーで運んでもらっていたのだから通行は少額でも有料にしてもよかったのではないだろうか▼伊良部大橋は経済を潤したかもしれないが島への課題も。レンタカーなどの乗り入れで交通量が増える。宿泊観光は日帰り観光に代わる。往来が便利になった分若者が街に住みたがり過疎が始まるなど▼公共工事での経済振興も大事だが、後の見通しが甘いと島の将来をダメにすることもある。石垣市でも、先例を倣うにしても再開する大型土地改良工事では過去の赤土流出などの反省点をクリアしたうえで始めるべきだ。(仲間清隆)
↧