Quantcast
Channel: 八重山毎日新聞社
Viewing all articles
Browse latest Browse all 16824

中選挙区復活論は世迷言か

$
0
0

■政権交代も反動大きく

 特定秘密保護法の強行採決など数を力にした安倍政権の強権政治に不安を感じている人は少なくないだろう。そこで最近財界やメディアの間でも議論になっているのが「小選挙区制」廃止と「中選挙区制」復活論だ。「何をいまさら世迷言(よまいごと)を」の声もあるだろうが、「一強多弱」の今の安倍自民党政権やこれまでの政治状況を見ると、果たして小選挙区制廃止・中選挙区制復活は世迷言なのだろうか。

 2011年には中選挙区制復活を目指す超党派の国会議員連盟も発足している。かつての金がかかりすぎるなどの中選挙区制の弊害を是正した上で、きちんと数多くの民意を反映する新たな選挙制度が出てきてもらいたい。

 そもそも小選挙区制は、アメリカやイギリスのようにニ大政党制にして政権交代を起こしやすくすることを狙いに1994年から導入された。狙い通り移行後5回目となる2009年の前回総選挙で野党第一党の民主党が大勝し、政権交代が起きた。

 

■これが小選挙区制の弊害

 しかしそれもつかの間で昨年12月の総選挙は、逆に自民が公明と連立で衆院で再可決可能な3分の2以上の議席を確保して政権を取り戻し、06年に続く安倍晋三第2次内閣が誕生した。ただこの圧勝も自民党の政策への積極的な支持や期待感があったわけでなく、あくまで国民の期待を大きく裏切った民主党政権と、離合集散と野合を続ける「第三極」への失望や不満から来る消極的選択の結果が自民を大勝させた。

 それは小選挙区制が、その時々の風任せのいかに民意とかけ離れた問題含みの選挙制度であるかを示している。 にもかかわらずはからずも「一強多弱」の巨大与党となった安倍政権は、解散がなければ3年後の参院選まで国政選挙がない空白期を突くように、国民の支持を得ていない政策までも数の力で強引に次々推し進め、「“衆参ねじれ”のままが良かった」と言わせるほどに人々を不安がらせている。

 

■党依存で政治家が小粒化

 導入から約20年の小選挙区制の問題点は▽保守的な二大政党制に移行し、小さな革新政党などが排除・淘汰(とうた)されて右傾化が進行▽その時々の風で民主や自民がまるでオセロゲームのように大勝・大敗し政治が混乱、暴走しがち▽死票の増大で少数意見が封殺され、民意が反映されない▽その結果政治不信を増幅し投票率が低下▽大量当選の新人が次の選挙で大量落選▽党への依存度の高まりで無所属が排除され、さらに個性的な政治家が少なくなり小粒になった|などが挙げられている。

 その弊害が沖縄では、自民党国会議員が「県外移設」公約を撤回したり、オスプレイ強行配備など沖縄の声が届かない政治状況となって現れている。

 それだけに小選挙区制廃止・中選挙区制復活論が台頭してきたが、そこで金がかかりすぎる、政権交代が起きにくいなど中選挙区制の弊害を是正した新たな選挙制度改革が大きな世論となって実現することを望みたい。かつて沖縄は定数5人の全県1区の中選挙区で自民、社会、共産、公明、無所属などが議席を分け合いすみ分けていた。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 16824

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>