【竹富】東京を拠点に活動する劇団「1980」(柴田義之代表)が美術・衣装を使わず、黒い箱や白いロープ、人の体で表現する素劇「あゝ東京行進曲」の公演が20日午前、竹富島まちなみ館で開かれ、50人が観賞した。
作品の「あゝ東京行進曲」は昭和を代表し日本初のレコード歌手となった歌姫、佐藤千夜子の波瀾(はらん)万丈な生涯を描いたもので、劇中は大衆歌謡や娯楽、時には笑いを織り交ぜ、明治や昭和初期の世界観や満州事変、日中戦争などの激動の日本社会を描写している。
公演は約2時間にわたって行われ、劇の転換や合間には演者と観客がこれまでの物語の振り返りや時事ネタなどで「雑談」する姿も見られた。
公演を楽しみにしていた野原富子さん(73)は「初めて見る素劇に感動した。昔の歌謡曲が多く披露され、楽しく、懐かしかった。島ではこういう機会がないので、またやってほしい」と話した。
同劇団の柴田代表は「観賞の機会がない場所で公演できてよかった。素劇は観客の想像力に入り込んでいくので、多くの方に表現を感じてほしい」と語った。
同公演は演劇を観賞する機会の少ない地方や離島地域での公演を支援する文化庁戦略的芸術文化創造推進事業の一環。
公演は21日も行われ、24日は西表島中野わいわいホールで行われる。開演時間は午後7時から。波照間島での公演は台風16号の接近で中止された。