南ぬ島石垣空港の開港後、観光需要の大幅な増加に伴い、郡内で飲食店や土産店、小規模ホテルやダイビングショップなどの新規創業が活発化している中、沖縄振興開発金融公庫八重山支店(古堅宗俊支店長)の2013年度創業融資実績(創業前及び創業後1年以内の事業者数)の融資金額が4億220万円(同2億690万円)と大幅に増加したことが分かった。公庫では「観光客増を背景に景気拡大を見越した創業マインドが伸びている」と分析している。
創業融資実績業種別の割合は宿泊・飲食サービス業28%、生活関連サービス・娯楽業24%、卸売り・小売業12%、不動産・物品賃貸業12%、製造業、医療福祉、その他がそれぞれ8%となっている。
公庫では、昨年11月ごろから郡内の離島で新規創業を計画する個人・事業者や業界関係者を対象に融資のあっせんや事業計画の策定などを支援したことから、本年度の4-6月期の新規創業融資実績は11件(昨年同期比7件増)、融資金額は1億900万円(同3500万円増)と好調だ。
新空港開港で増加する観光客に対し、08年のリーマン・ショックなどで観光需要の衰退を経験したことで慎重な姿勢になっていたと分析する公庫業務課の宮里一弘課長は「新規創業者の先行きを見越した創業意欲が表れ、公庫の支援体制の強化が図られた」と話している。
一方、ハードやソフト面の改善と好調な観光がいつまで維持できるかが課題だと指摘する石垣市商工会の當眞洋平経営指導員は「八重山の経済は観光と表裏一体。すでに航空会社の減便や運賃引き上げが行われ、観光客の減少につながる不安要素があり、来年以降が心配」と語った。
新空港開港効果が一過性にすぎないとみられていたことが融資への足かせになっていたとみる公庫の古堅支店長は「新規創業者が新空港効果を本格的な流れだと感じ始め、創業マインドが上昇している表れ。創業関連融資制度でさらに支援していきたい」と今後の融資増加に期待感を示した。