2014年度とぅばらーま大会(石垣市主催)の作詞の部の入賞者が8月31日午前、市民会館で発表され、岡山稔さん(73)=石垣市石垣=が最優秀賞に輝いた。優秀賞には宮里テツさん(84)=同=と黒島まち子さん(66)=同=、佳作には石垣文男さん(65)=那覇市=が選ばれた。
作詞の部には石垣市内69人、島外5人、県外2人の計124点の応募があった。生徒37人が37点を応募した大浜中学校には特別賞が贈られ、そのうち2作品は大会当日に披露される。
岡山さんは07年度に優秀賞を取って以来2度目の受賞。作品は認知症を患っていた母親のウメさん(享年92歳)がきれいに着飾って散歩に出かける様子をつづったもので、最後に「戻り道 探みぇーぶさぬ(帰り道も探せないのに)」と結んでいる。
岡山さんは「認知症の人は自分の子どもや周りの人に身をもって教えているのではないか。この歌は支える家族や高齢化社会を生きる人々へのエールでもある」と述べ、「亡くなった母への思いなどもやもやしたものを形にしたいと思っていた。とぅばらーまという形で成就したのがうれしい」と入賞を喜んだ。
審査は応募者の名前などは一切伏せて公平に行われ▽歌にのせられるか▽人の心を魅了する表現力があるか▽熟練した方言の使用|などを基準に実施。石垣久雄審査委員長は「現代を風刺する作品や高齢化社会を反映した作品が多かったように感じる。歌にするのは困難なことで、入賞者の作品はよくまとめられている」と講評。
岡山さんの作品については「生活の中でよく見かけることをさりげなく、島の言葉の味を十分に生かし、表現している。ユーモアの中にも一抹の寂しさを感じさせる作品」と述べた。