【波照間】竹富町(川満栄長町長)が波照間小中学校西側の元診療所跡地に整備を進めてきた町立波照間歯科診療所が完成、早ければ9月下旬ごろから診療が始まる。町健康づくり課(與那覇忠課長)によると、関東地方の医療法人と契約し、1カ月に1週間ほど歯科医師を派遣して診療を行う方向で調整を進めている。県の巡回歯科診療が2012年度で終了後、2年以上にわたり住民が島内で歯科診療ができなかっただけに、同島初の歯科診療所に対する住民の期待は高い。
同島では1961年から、県が厚生労働省医師等派遣制度に基づき巡回歯科診療を実施してきたが、2012年度に県職員の巡回歯科診療に関する会計処理で不適正な処理が発覚。県が巡回歯科診療を廃止したことで、県の全額補助を受けて町が歯科診療所の整備を進めてきた。
施設は鉄筋コンクリート平屋建て赤がわら造。建築面積147平方㍍、延べ床面積120平方㍍。内部施設はエックス線撮影装置や自動排水分離機、受診者が診療を受ける歯科用ユニットなどを整備しており、総事業費は約7600万円。
同課では現在、八重山保健所に歯科診療所の開設許可申請を提出しており、許可が降り次第、九州厚生局に開設届けを提出。関東の医療法人と契約し、9月下旬から10月上旬には診療を始める計画。
與那覇課長は「現時点では1カ月に1週間程度の診療ということで話を進めており、どれぐらいの需要があるのか様子を見ながら、歯科診療所の運営をお願いする法人と調整を進めていきたい」と話している。
波照間公民館の東迎一博館長は「歯科診療は1度行けば終わりということがなく、期間を空けて何度も通わないといけない。私も毎月、石垣市の歯科医に通っているが交通費や滞在費など負担も大きく、島民も本当に大変な思いをしている。一日も早く診療を始めてほしい」と診療開始を待ち望んでいる。