8月を迎え、日本最南端の島々も本格的な猛暑の季節に入った。子どもたちの夏休みもピークに突入、カレンダーを見ると今月も旧盆や食品衛生月間などさまざまな記念日や行事がめじろ押しだ。熱中症や食中毒に十分注意を払いつつ、盛夏を楽しみたい。
■好調観光に暗雲?
今月1日は「観光の日」で「パインの日」でもあった。昨年3月の新空港開港以来絶好調の観光は今年も好調を持続、昨年を上回る勢いで観光客が続々訪れている。まさに「新空港さまさま」でこの調子だと今年は一気に100万人の大台到達は確実な見通しだ。
ただ一方で人手不足が深刻化。さらに好調観光に一抹の不安が出てきた。現在の低価格運賃をけん引し好調な観光に結び付けたスカイマークが、航空機購入のもつれで700億円とされる巨額の違約金を求められ、経営難に陥りかねない状況になってきたからだ。
先月、格安航空のピーチが那覇ー石垣から撤退しただけに、スカイマークの動向は八重山経済にとって非常に気がかりだ。もう一つの格安航空会社ジェットスターの参入も求め、「量」から「質」への転換・拡大も進めたい。
八重山の夏の味覚を代表するパインも旬真っ盛りだが、しかし価格が1個1200円もしていたのには驚いた。いい商品は当然高く売ってもいい。ただそれが「新鮮で安い」を売りにする農協の「ゆらてぃく市場」なのはどうも違和感だった。「パインの日」も8月は時期的に遅いような感がする。
■戦争や被爆の反省忘れ
8月はきょう6日が「広島原爆忌」9日が「長崎原爆忌」で15日は69回目の「終戦記念日」となり、日本列島は例年不戦を誓い、鎮魂の祈りに包まれる月でもある。しかし戦後69年もなる今年は様相が一変。ほとんどが戦争を知らない安倍政権の下、かつての戦争や被爆の歴史をすべて忘れたかのように再び愚かな道を歩み始めている。
首相は尖閣をめぐる中国との関係悪化を脅威論にすり替えて巧みに利用。数の力でかつての軍国主義復活で戦争への道を強行の一方、余計なことに島しょ防衛と称して与那国だけでなく石垣や宮古、奄美の離島にも自衛隊配備を計画、着々軍事増強を進めている。
集団的自衛権行使に関しては、政治に関心の薄いはずの20~30代の反対が7割近くに増え、従来の中高年の反対を上回った。戦地に行かない政治家や官僚たちと違い、若者は戦場に駆り出されるのだからそれは当然だろう。
■議員選は何をアピールする
原発も今秋には鹿児島の川内原発が再稼働の見通しだ。戦争も原発もなぜこうも過去の反省や過半数を超す反対意見が軽く無視され、葬られるのか。閣僚の失言や女性の人権軽視の都議会のヤジ、神奈川の号泣県議などを見ると、確かに近年「政治家の質」の軽さが感じられる。特に国会議員は小選挙区のせいで小粒になり、誰も安倍政権の暴走を止めきれないのが現状だ。
その政治家の質が問われる市町村議員選挙が県内では来月9日、ほぼ一斉に実施される。八重山3市町も今月が勝負どころだ。保育料の無償化など大胆な政策提言で政治家の役割、存在感をしっかりアピールしてもらいたい。