アルミ缶など、各家庭から出された資源物の持ち去りを禁止する「廃棄物の処理・清掃に関する条例の一部改正」は、19日の6月定例市議会経済民生委員会で、条件付きで可決された▼条例は市が指定する者以外の資源物の収集・運搬禁止を規定するもので、罰則規定はなく、違反者には指導・勧告が行える▼市が条例改正に踏み切るのは、指定場所に出された資源ごみの中から売価が高いアルミ缶だけを抜き取り、残りを放置して散らかしたり、不法投棄するケースがあり、市民から苦情が寄せられたことが背景にある▼ごみを散らかす行為や不法投棄は決して許されるものではない。だが、収集者の中には苦しい生活費の足しにするためやむなく収集している高齢者もいる。この行為の全面禁止はその人たちの生活の糧を奪うことになる▼条例可決には、生活困窮者らに必要な施策を講ずるとする条件が付いた。生活保護や、清掃などの就労の場の提供などが想定されるが、まず、市がアルミ缶収集の実態を調査、把握した上で、条例が施行される11月1日までに必要な措置を取ることにしている▼担当課では、環境美化の観点から有償ボランティアなども検討するようだが、一過性ではなく、対象者が継続的に無理なく実施できる効果的な対策が必要だろう。(下野宏一)
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