「本当にショックだ」「涙が出る」―。「仲道の三番アコウ」として親しまれ、石垣市の史跡に指定されている登野城のオオバアコウの一部が23日正午ごろ、台風6号の強風のあおりを受け倒木した。地域のシンボルでもある大木の無残な姿を目にした市民の間に衝撃と悲しみが広がった。
折れたのは西側の根元付近。倒れた枝が道路をふさぎ、交差点付近が通行できなくなるなど一時混乱が生じた。八重山警察署が交通整理、石垣市消防が折れた枝を除去し対処した。東側の約半分のみが残った状態となっている。
三番アコウは市主催の「とぅばらーま大会」(旧暦8月13日)の前夜に開かれる「なかどぅ道ぬとぅばらーま祭」の会場としても知られている。推定樹齢は約250年。2017年7月に腐食により付け根付近の枝が折れ、18年1月には樹勢回復処置作業が行われていた。
三番アコウの向かいに店を構える理容室コワフール店主の浜端正威さん(57)は「地域そしてお店のシンボルでもあった。ショックが大きい」と衝撃を隠しきれない様子。
浜端さんによると以前から倒木を懸念していたといい、市教委に剪定を依頼し、3日前に一部の枝を切ったばかりだった。「枯れている部分もあり、もっと枝を落とさないともたないと思っていた。台風が来たらどうなるかと思っていたが案の定。でもまだ半分残っているので良かった」と語った。
アコウ木周辺の草刈り活動を30年以上続けている宮良自動車整備工場の宮良祐次さん(81)は「この木はうちの工場のびょうぶのようなもの。本当に悲しい。かわいそうで涙が出る」と声を落とした。「ここ最近は木が疲れていた。きれいに切ればまた新芽が出て形も変わってくると思う。できるだけ再生してほしい」と願った。