【那覇】県農林水産部は28日までに県花デイゴの開花を阻害する病害虫デイゴヒメコバチについて、通常の半分の樹幹注入剤使用で従来と同等の効果を得る低コスト化防除技術を確立したと発表した。これまで1本当たり平均3万円の注入剤のコスト高が課題だったが、新たな防除技術では費用が半分に抑えられるほか、広範囲のデイゴの防除が期待されている。竹富島では今年、薬量を半分に減らしても3年連続でデイゴが開花した。
デイゴヒメコバチは、2005年5月に国内で初めて石垣島で発見され、約1年で竹富町を含む離島や県内全域に被害が拡大し、デイゴの開花が見られなくなった。
県は06年から、名護市にある県森林資源研究センターで殺虫効果試験に着手。樹幹注入剤(チアメトキサム)と散布剤(イミダクロプリト)の2種類の薬剤が殺虫効果が高いことが分かった。特に樹幹注入剤は飛散の影響がなく、殺虫効果が約1年と長いことから主要な防除薬剤として使用されてきた。
ただ、コストが高く、経済的理由から防除本数が限定された。県は低コスト化に向けて11年から13年にかけて竹富島などで試験を行い、通常の半分の薬量でも着葉量と殺虫効果が同じであることを突き止めた。
県や各市町村、関係団体などによる樹幹注入剤での防除の取り組み活動が実り、12年には八重山地域のデイゴが6年ぶりに開花した。今年は八重山をはじめ各地で開花が確認されている。