【与那国】防衛省の与那国島への陸上自衛隊沿岸監視部隊の配備に向けた造成工事の起工式が19日午後、与那国町離島振興センターで開かれ、小野寺五典防衛大臣が出席したのをはじめ、着工に理解、協力した町民や防衛協会、島外の関係者など約50人が招待された。県内への自衛隊配備は1972年に本島に配備されて以来、復帰後初めて。小野寺防衛大臣が「歴史的な機会に立ち合うことができ感無量」とあいさつした。会場入り口では配備に反対する住民ら約70人がバリケードをつくり大臣の乗った車両の進入を阻止するなど、警備と一時対峙(たいじ)し、式典開始が約30分遅れた。
配備が計画されている沿岸監視部隊は150人規模。付近を航行する艦船や航空機の動向をレーダーで監視する役割を担う。2015年度末までに配備する予定。
配備地の南牧場の町有地は、すでに町と同省間で賃貸契約が済んでおり、起工式を機に敷地造成や隊舎建設などが一気に加速する見通し。
式典は午後3時半から約50分を予定していたが、施設入り口を反対住民ら約70人が取り囲み、「着工反対」「大臣は帰れ」と抗議、腕を組んでバリケードをつくり、小野寺大臣や関係者の車両の進入を阻止するなど警備とにらみ合い、一時緊張する場面もみられた。
この影響で式典は約30分遅れで始まり、約20分で終了。最後に小野寺大臣や外間守吉与那国町長らがくす玉を割った。
式典で小野寺大臣は「国民の生命、財産、国土などを守るうえで、最西端の与那国に配備される部隊の担う役割は大きい」と、同町への部隊配備の意義を強調。「今後も地元関係者とコミュニケーションを図り、施設工事が進むことを祈願する」と述べた。
元防衛大臣政務官で衆議院議員の左藤章氏や沖縄防衛局の武田博史局長もあいさつした。外間町長は「これまでなかなか進めることができなかったインフラ整備を防衛省の基地周辺整備事業を活用してできることは、新たな島づくりのきっかけになる」と、着工を歓迎した。