内閣府は警察官や消防士など危険性の高い業務に尽力した個人を対象にした「第22回危険業務従事者叙勲」の受章者を発表した。八重山関係はいずれも警察功労で、當山安博さん(71)=石垣市大浜=、伊是名克則さん(70)=同白保=、東太田浩さん(71)=同宮良=が瑞宝双光章、大島達男さん(70)=同白保=が瑞宝単光章。県内では、40人の受章が決まった。
全国では3630人が受章。職業別は▽警察官=1840人▽消防士=632人▽刑務官等=139人▽海上保安官=84人▽自衛官が935人。
危険業務従事者叙勲は、2003年の栄典制度改正に伴い創設。春秋の叙勲とは別に危険業務に従事した人を選考して内閣府が年2回発表している。
【瑞宝双光章】
立件へ図書館通い
■東太田浩(ひがしおおた・ひろし)さん(71)
禁止薬物の取り締まりや経済犯罪などを中心に33年間、警察業務に尽力。
タクシー運転手や八重山製糖(現在の石垣島製糖)での勤務を経て、26歳で警察学校に入学した遅咲きの警察官。
思い出深いのは県警本部捜査2課時代。バブル期には詐欺などの知能犯に対応した。「どうすれば立件できるか、毎日図書館で勉強したこともある」とのエピソードに勤勉さがにじむ。
「妻や仲間の支え、先輩たちの指導で頑張ってこられた。(受章は)とてもうれしい」と話す。
石垣市宮良出身。宮良在住。八重山農林高校卒業。1967年採用。2002年退職。元警視。
発砲され、九死に一生
■當山安博さん(とうやま・やすひろ)さん(71)
警備畑を中心に39年余、警察官業務に力を尽くした。糸満警察署長時代には九州・沖縄サミットを経験し「万全の態勢で無事に乗り越え、安心した」と振り返った。
機動捜査隊時代には、コザ市内で拳銃の発砲音を聞き、現場に急行。逃走中の挙動不審の少年にいきなり発砲され、九死に一生を得た経験がある。
受章には「非常に光栄。これも家族や上司、後輩のおかげと感謝している。賞に恥じないよう今後もがんばりたい」と述べた。
石垣市大浜出身。沖縄市在住。八重山農林高校卒。1962年採用。2002年退職。元警視正。
石垣の上で張り込み
■伊是名克則(いぜな・かつのり)さん(70)
2003年の定年退職まで、41年間にわたって刑事関係を中心とした業務に尽力した。
那覇市西武門交番を振り出しに、県警本部などで刑事課に勤務。殺人事件や外国人犯罪などに携わった。
刑事課では、張り込みでガジュマルや石垣の上に陣取ったり、知り合いを逮捕したりもした。「つらいこともあったが、事件が解決できた時はうれしかった」とかみしめる。
受章には「地道な積み重ねがつながっただけ。特別なことはしていない」と控えめ。
石垣市白保出身。白保在住。八重山農林高校卒業。1962年採用。元警視。
【瑞宝単光章】
捜査畑一筋、難事件で活躍
■大島達男さん(おおしま・たつお)さん(70)
「島の駐在さんになりたい」との思いから警察官を志した。採用以来捜査畑一筋、主に暴力団抗争など対策業務に精励した。糸満での死体なき殺人事件、国頭山中での暴力団殺人事件などで逮捕した犯人を自供させた。
拳銃摘発でも力を発揮するなど地域の治安維持に尽力。「困っている人を助けたいとの思いが強かった。人と地域のために力になれて良かった」と警察人生を振り返った。
受章に「叙勲は大きな賞。私のような人がもらっていいのでしょうか」と謙遜した。
石垣市白保出身。那覇市在住。八重山農林高校卒。1966年採用。2004年退職。元警視。