【与那国】議長の未決が続き、異常事態となっている与那国町議会(定数10)。議長選挙は26日で20日目に入り、総回数が90回を超え、〝大台〟の100回に迫っている。議長職を譲り合う与野党の「雪解け」に外間守吉町長は、与党側が要望した教育長人事の専決処分に来週、踏み切る考えを示唆。これに野党側は、外間町長が人選した候補者が「地方教育行政の組織および運営に関する法律の要件に当てはまらない」と指摘。「専決処分を人事案件にも手を出すなら望むところ」と徹底抗戦の構えだ。事態は収束ではなく、混迷を極め始めている。
■教育長人事浮上
これまで水面下にあった教育長人事が急浮上してきた背景に野党側は、昨年8月の町長選挙で外間陣営の選対本部長を務めた人物への「選挙功労」が根強いと口をそろえる。
ただ、9月28日の9月定例会開会後、教育長人事が表面化したのは1度だけ。与党側が野党側へ人事案件に賛同すれば、議長を受諾するとアプローチしたが拒否。加えて外間町長は今月12日に補正予算案の一部を専決処分とする判断を下したが、人事案件にはかたくなに否定してきた。
外間町長が与党議員の説得の場を持った24日夜、与党関係者によると、同席した教育長候補者は登用に意欲的な姿勢を見せ、与党議員も人事案の専決処分を求めて決裂。この日を境に与党側は「議長選は(教育長の)人事にこだわっている。町長が決断すれば、議長は与党から出す」と公言し始めた。
教育長人事のため泥沼の議長選を続ける議会に対し保守系支持の町民は「与党の思惑はさらに泥を塗る行為。町長を支える屋台骨である与党議員を説得できない町長は、調整能力が欠如している。こんな結末はありえない」と批判した。
■野党は一蹴
一方、地方教育行政の組織および運営に関する法律で、教育長要件として「人格が高潔で、教育行政に関し、識見を有するもの」と記されている。教育現場の経験者を教育長に提案している野党側は「町長人選者は該当しない」と一蹴。
さらには、外間町長が過去に3度も教育長同意案件を提案するも、野党に否決されてきた経緯から「地方自治法では、否決された場合は議決があったことになるので専決処分はできない」と強調した。
外間町長は与党議員説得後の会見で、「私が傍観者にならず、(来週には)事態の収束に向けた手続きに入りたい。町民には大変申し訳ない」と頭を下げた。
26日の議長選は5回行われ、与党の前西原武三氏と野党の崎元俊男氏が5票の同数で並び、くじ引きで前西原氏が5回連続で当選したが辞退した。総回数は93回。
町議会は29日午前10時から再開して議長選を行う。