【与那国】議長選出が難航している与那国町議会(定数10)で、与党議員の説得に乗り出していた外間守吉町長は25日午前、「話し合いは決裂した」と明かした。説得の場で与党側は、約1年5カ月も不在が続いている教育長の人事案件を議会の議決を経ない専決処分で処理するよう求め、応じれば議長を選出する考えを示した。外間町長は「(専決処分が)可能なのか、県に疑義照会している。週明けには事態の収束に向けて判断する」と専決処分する可能性を示唆。踏み切った場合、「町政の私物化」として野党と町民からの反発がさらに強まることは避けられそうに無い。
教育長人事は、昨年の9月議会から町長が同意案件を上程しているが、当時の多数野党に「町長選の選挙対策本部長を務めた人物に対する選挙功労人事」と否決されてきた経緯がある。
与党側によると、外間町長を交えた話し合いは約1時間行われ、内容について与党の前西原武三氏は「これまで提案してきた候補者は選挙功労ではなく、適任者。専決処分で教育長に据えた後であれば、議長は与党が取るが、後は町長の判断。野党と溝が深まるのは覚悟している」と強気の姿勢を見せた。
ただ、人事案件の専決処分を一貫して否定していた外間町長は「事態収束に向け、行政として伝家の宝刀を抜けと言われている。私の整合性を問われると苦しいが、一番の解決の道」と理解を示した。
さらに説得に応じず、距離が離れた与党議員との関係修復に「(与党議員との)溝、温度差を埋めるには専決処分しかない」(外間町長)と断言した。
野党側は「教育長人事を通すため、これまで議長選を続けてきた与党と町長の思惑がはっきりした。専決処分への対応は野党5人で協議して決めたい」と行政手法を批判した。
町民の60代男性は「与党議員と調整能力がない外間町長に完全に矛先が向けられた。与野党双方の支持者による住民運動は拡大しており、抗議活動も目前にある」と怒りを見せた。
町議会はこの日も朝から19日目の議長選を行い、5回のうち与党の前西原武三氏が2回、野党の崎元俊男氏が3回当選者となったがすべて辞退した。総回数は88回。26日も午前10時から議長選を行う。